脳神経外科医|大森一美公式WEBサイト

頸部内頸動脈狭窄症とは

内頸動脈狭窄症とは

脳梗塞および一過性脳虚血発作とは

  • 脳梗塞

 脳の神経細胞が生きていくために必要な脳血流が不足すると脳梗塞に陥ってしまいます。いったん脳梗塞に陥ると現在の医学水準では元に戻すことはできません。こうした脳梗塞は脳を栄養する動脈が閉塞あるいは狭窄するために起こります。 

  • 一過性脳虚血発作

 脳血流が低下したり小さな血栓により動脈閉塞を生じ、一時的に神経症状が出現する病態です。その症状としては一過性黒内障(突然目が見えなくなる)、四肢の片麻痺、呂律困難などがありその症状は数分から数時間続き、その後それらの症状は回復します。このように一過性脳虚血発作は可逆的病態ですが、1年で1213%の方が脳梗塞に移行することが知られています。

 これらの病態は脳および眼を栄養する頸部内頸動脈に動脈硬化性変化(プラーク)が生じ動脈狭窄を生じた場合にも起こります。

治療方法

 治療の目的は脳梗塞の発症、再発を少しでも抑制させることです。そのためには頸部内頸動脈狭窄を改善させることや、内頸動脈に存在するプラークを取り除くことが必要です。それには頸部を開いて行う内頸動脈内膜剥離術と、カテーテルで治療するステント留置術があり、最近ではカテーテルの種類が増えたこともあり、ほとんどの症例でステント治療が可能となりました。が、中には内膜剥離術が必要な症例が存在します。

治療方法

治療の目的は脳梗塞の発症、再発を少しでも抑制させることです。そのためには頸部内頸動脈狭窄を改善させることや、内頸動脈に存在するプラークを取り除くことが必要です。それには頸部を開いて行う内頸動脈内膜剥離術と、カテーテルで治療するステント留置術があり、最近ではカテーテルの種類が増えたこともあり、ほとんどの症例でステント治療が可能となりました。が、中には内膜剥離術が必要な症例が存在します。


 

実際の手術(頸動脈内膜剥離術)について

具体的な方法

  • 顕微鏡下に頸部を切開し、総頸動脈・内頸動脈・外頸動脈を露出させた後、クリップ等を用い血流を一時的に遮断し、動脈に切開を加えます。
  • 血管の内側に存在するプラークを内膜とともに丁寧に剥離して摘出します。
  • 当院では、遠赤外線モニターを使用し、一定時間の血流遮断に耐えられないと判断した場合は、内シャント術というチューブを用いて血液を送りながら手術を行います。
  • プラーク摘出後に血管壁を縫合します。

利点

  • 再発がほとんどなく、一発完治します。

欠点

・頸部を開くため、侵襲が大きい(首に傷がつきます)。

頸動脈内膜剥離術の合併症について

①手術中、手術後の脳梗塞の発症
 頸部頸動脈血栓内膜剥離術の際最も問題となるのは手術中、手術後の血管閉塞・脳梗塞の発症です。患者さんはすでに脳虚血の発作を生じている、もしくはその予備軍状態のため他の一般的な手術に比べて、術後脳梗塞発症の確率が高いと考えられています。

②手術中、手術後の頭蓋内出血

 手術では直接頭蓋内を操作しませんが、稀に手術中、手術後に頭蓋内出血を生じる場合があります。これは手術により内頸動脈の狭窄が解除されるため、脳血流が急激に増加することが原因と考えられています。


③手術後の下位脳神経障害
 
手術部位には下位脳神経と呼ばれる喉を支配する神経が存在し、手術により一時的にものが飲み込みにくくなることや、声が嗄れてしまうなどの障害を生じることがあります。