頭蓋底専門 脳神経外科医 大森一美 | 兵庫 関西 頭蓋底腫瘍・三叉神経痛・脳動脈瘤手術実績5000例以上

聴神経腫瘍 acoustic neurinoma 50代 女性

50代の女性。MRI検査で、脳幹を圧迫する大きな聴神経腫瘍を認めました。 聴神経腫瘍は良性腫瘍ですが、大きくなると小脳や脳幹を圧迫します。また、腫瘍のすぐ近くには顔の動きをつかさどる顔面神経が走っているため、大きな聴神経腫瘍の手術では、腫瘍を摘出することと同時に、顔面神経をいかに守るかが非常に重要になります。 私が聴神経腫瘍の手術で大切にしていること 聴神経腫瘍の手術では、私は**「画像上の全摘」にこだわるあまり、顔面神経の機能を損なわないこと**を重視しています。 腫瘍の大部分は、顔面神経との境界を丁寧に確認しながら摘出します。しかし、顔面神経に非常に強く癒着している部分では、無理に剥がすことで神経を傷つける可能性があります。 今回の手術でも、腫瘍はほぼすべて摘出しましたが、顔面神経に強く癒着したごくわずかな部分については、あえて薄く残しました。 良性腫瘍の手術では、腫瘍を完全に取り切ることだけではなく、患者さんの術後の生活を考えた判断が重要だと考えています。 さらに私が特に注意しているのが、熱による顔面神経の損傷です。 手術では出血を止めるために電気凝固を使用しますが、顔面神経は熱の影響を受ける可能性があります。そのため顔面神経の近くでは、電気凝固の使用や熱の伝わり方にも細心の注意を払い、神経を直接傷つけないことはもちろん、神経に余分な熱を加えないよう、一つひとつの操作を丁寧に行います。 聴神経腫瘍の手術では、単に「どれだけ腫瘍を取ったか」だけで手術の良し悪しが決まるわけではありません。 腫瘍を十分に摘出しながら、顔面神経をはじめとする重要な神経の機能をできるだけ守る。そのために、取るべきところと、あえて無理をしないところを見極めること。 私はこのバランスを大切にして手術を行っています。