三叉神経痛(顔面痛)とは
三叉神経痛(顔面痛)について — つらい顔の痛みでお悩みの方へ —
三叉神経痛は「がん」や「命に関わる病気」ではありません強い痛みのため不安になられる方が多いですが、三叉神経痛は良性の病気です。きちんと治療することで、多くの方が痛みから解放されます。三叉神経痛とは?
三叉神経痛は、顔に突然「電気が走るような強い痛み」が出る病気です。典型的には歯を磨いたとき洗顔したとき食事をしたとき風が当たったときなど、ちょっとした刺激で激しい痛みが起こります。痛みは数秒〜数十秒の短い発作一日に何度も繰り返すのが特徴です。
痛みの原因は?
最も多い原因は、脳の奥で三叉神経が血管に触れて圧迫されることです。特に多い血管は上小脳動脈(SCA)前下小脳動脈(AICA)脳幹から出る小さな血管(穿通枝)などです。MRIで確認することができ、圧迫部位がはっきり分かる方も多くいらっしゃいます。
治療には3つの選択肢
お薬による治療(初期治療)
まず行うのが薬物療法です。最も使われるのはカルバマゼピン(テグレトール)です。効果は高いですが、副作用もあります。
代表的な副作用:ふらつき眠気肝機能異常低ナトリウム血症副作用が強い場合や、飲み続けることが難しい方には別の薬を使用します。
ブロック治療(痛みを一時的に抑える治療)
痛みの原因となる神経に局所麻酔薬を注射し、一時的に痛みを緩和させる治療です。根本治療ではありませんが、一時的な痛みの軽減に有効効果は数週間〜数ヶ月続くことがありますお薬が飲めない方や、手術前の痛みのコントロールに適しています。
手術治療:微小血管減圧術(MVD)
薬が効かない、または副作用が強い場合、原因の血管を神経から離す“根本治療”がMVDです。MVDは、三叉神経を圧迫している血管をそっと移動させ、神経の圧迫を取り除く手術です。また、最近の知見では三叉神経そのものにメスを入れる神経内剥離(nervecombing)を加えることで血管の圧迫が無くても改善します。神経内剥離手術後、その場で痛みがなくなる方が多く、再発率も低いのが特徴です。
微小血管減圧術(MVD)
MVDは「治すことを目指す」治療です。薬やブロックは痛みを和らげる治療ですが、MVDは原因となる血管を離す“根本治療”。痛みからの解放を目指す上で、有力な選択肢のひとつです。
特徴①
内視鏡を併用した、安全で確実な手術通常の顕微鏡手術に加えて、内視鏡(エンドスコープ)を併用することで、見えにくい血管の裏側までしっかり確認できます。これにより、見落としの防止神経や血管を傷つけない丁寧な操作が可能になります。
特徴②
神経や聴力を守るための細心の配慮三叉神経の近くには顔面神経聴神経があり、手術には高度な技術が要求されます。当院では神経モニタリングを用いながら安全に手術を行います。
特徴③
痛みの早期改善が多い術後当日〜翌日から「今までの激痛が消えた」という方が多く、生活の質が大きく改善します。
手術の流れ
1)全身麻酔で眠っていただきます2)耳の後ろを数センチほど切開します
3)顕微鏡と内視鏡で神経を圧迫している血管を確認します
4)血管を神経から離し、固定します
5)閉創して終了です手術時間は通常2〜3時間程度です。
入院期間
一般的には5〜7日間程度です。術後の回復は個人差があります。
三叉神経痛でお悩みの方へつらい痛みで日常生活が制限されてしまう前に、一度ご相談ください。
MRIで圧迫血管の有無を確認症状に合った治療の提案手術治療が必要かどうかの判断患者さんに寄り添い、最も適した治療をご一緒に考えていきます。
お問い合わせ症状についてのご相談や受診の希望があれば、お気軽にお問い合わせください。